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念仏札

一遍上人語録

消息法語

頭弁殿より、念仏の安心尋たまひけるに、書て示したまふ御返事

念仏往生とは、我等衆生、無始以来、十悪・五逆・四重・謗法・闡提(せんだい)・破戒・破見等の無量無数の大罪を成就せり。

これによつて、未来無窮の生死に輪廻して、六道・四生・二十五有の間、諸(もろもろ)の大苦悩を受くべきものなり。

しかりといへども、法蔵比丘、五劫思惟の智恵、名号不思議の法をさとり得て、凡夫往生の本願とせり。

この願既に十劫已然に成就せし時、十方衆生の往生の業は南無阿弥陀仏と決定す。

此覚体、阿弥陀仏といふ名にあらはれぬるうへは、厭離穢土欣求浄土の志あらん人は、わが機の信不信、浄不浄、有罪無罪を論ぜず、唯かかる不思議の名号をきき得たるを喜びとして、南無阿弥陀仏を称へて息たえ命終らん時、必ず聖衆の来迎に預りて、無生法忍にかなふべきなり。

是を念仏往生といふなり。南無阿弥陀仏。

   九月朔日          一遍

 弁殿

 

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